大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和36(あ)2912 決定

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

弁護人伊藤静男の上告趣意第一点について。

所論は、原判決の是認した第一審判決が本件に適用した罰条は、特定の地方公共

団体が車券を発行する場合を除外し、それ以外の者が車券を発行した場合にのみ処

罰することを定めた規定であつて憲法一四条、二二条に違反するから、その適用を

是認した原判決は、右憲法の規定に違反すると主張する。

しかし、原判決が是認した本件の適条は、自転車競技法(昭和三七年法律第八四

号による改正前のもの)一八条二号であつて、右規定は「競輪に関して、勝者投票

類似の行為をさせて財産上の利益を図つた者は、五年以下の懲役若しくは五十万円

以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と定められており、その行為は車券の

発行とは関係がなく、またその行為者は所論の者のみに限られていないことが法文

上明らかであるから、所論違憲の主張は前提を欠き適法な上告理由に当らない。

同第二点について。

所論は、自転車競技法は不当に国民の財産を奪うことを許した法律であつて憲法

二二条、二九条に違反するから、この法律の適用を是認した原判決は、右憲法の規

定に違反すると主張する。

しかし、所論は、原判決が是認した本件の適条についての具体的な論難ではない

から、適法な上告理由に当らない(昭和三四年(あ)第一六六五号同三五年二月九

日第三小法廷決定、刑集一四巻一号九二頁参照)。

また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお

り決定する。

- 1 -

昭和三九年三月三一日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 石 坂 修 一

裁判官 横 田 正 俊

裁判官 柏 原 語 六

裁判官 田 中 二 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!